電脳トレモロ

君の囁きに合わせて、僕の電脳が震えた。

怒りを殺す。

漫然とした怒りを感じている。


僕は僕が憎いのだろうか。


この怒りの諸元が見つからない以上、その怒りは僕に内在するのだろう。


今日、ダンサーインザダークを見た。


もう五回ぐらい見ているのに号泣してしまった。


一緒に見ていた人は、この映画が嫌いだといった。


当然だろう。この映画は嫌われて然るべきなのだ。


この映画は狡いカタルシスを押し付けてくる。


こんなモノに心を動かされるなんて脆弱な精神もいいところだ。


そんな戒めを片耳に留めながら僕は泣く。


強靭なる現実との対決法を示されているようで、


それに従えない自分に苛立ちを感じながら僕は泣いている。


セルマの歌声が僕を貫く。


僕には出来るだろうか。


怒りも悲しみも超えた先で高らかに歌うことを。


絶望の中で怒りに捕われることなく


楽しさに耽ることが


出来るだろうか。