電脳トレモロ

君の囁きに合わせて、僕の電脳が震えた。

忌むべき○○が。

A地区には忌むべき存在がいた。

その存在を便宜上、アクマと呼ぶことを許してほしい。

その界隈では土着的な呼び名があったが、この呼び名は聞き取ることが難しく、ここに書き記すことが出来なかった為だ。

そのアクマは地区の外れの森に済んでいた。

森は鬱蒼と茂った針葉樹によって始終、暗澹としていた。

そんな森でアクマは日に三回、地区の住民に襲撃を受けていた。

農具を武器に変えた住民が大挙してアクマの地に出向き、アクマの四肢を直視しがたいほどに粉砕した。

けれどアクマは不死身であった。

きっかり一時間後には、また元の姿を復元していた。

その超自然的な力は、さらに人間を恐怖へと駆り立てた。

その悲痛な連鎖がアクマへの熾烈な虐殺へと至った。

しかし、アクマは決して反撃することはなかった。

アクマは知っていたのだ。

自分を虐げる人々が如何に未熟な存在であるかを。

アクマはその深い慈愛を持って住民を受け入れた。

 

 

 

 

しかし、現象はどこまでも残酷であった。

この世に永遠は無かった。

そう、アクマは死んでしまった。

砂漠の砂粒を一つ一つ運ぶような年月を経て、不死身は死んだ。

アクマを失った住民は、住民の中からアクマを見出すことにした。

そうして、住民同士の殺し合いが始まった。

それからはあっという間だった。

アクマがいた時から比べれば実に一寸と呼べる時間で住民は滅びた。

そうしてA地区は消えた。

 

これを読んでいる住民がいたら、もう一度考え直してほしい。

忌むべき存在が本当に根絶されるべきかを。

私は、

(ここで文章は掠れて読めなくなっている。以後のページも損失しているようだ)